
ホテルに到着した。
僕が泊まったホテルはプラハのフラッチャニ地区にある。この地区にはプラハ城があって、坂が多く、ホテルと観光スポットの行き来がちょっと大変であった。
ホテルのレセプションには、プラハの伊達男らしい粋な若者が座っていて笑顔で出迎えてくれた。とてもいい感じの青年である。日本に帰ってきてから分かったことであるが、とあるプラハの雑貨を主に紹介する本に、この青年の写真のっていた。やはり、伊達男だからであろう。
そのホテルマンは僕にウェルカムドリンクだということで、シャンパンをすすめてくれた。やはり、多少高い値段をとるホテルの旅というのもこれはこれで中々楽しいものである。
それから部屋に案内されたが、ホテルのエレベーターでやたらとびっくりしたことがあった。僕の部屋はホテルの4階にあったのだけれど、部屋のカードキーが無いとエレベーターのドアが開かない仕組みになっていたのである。
これなら、セキュリティーは万全であると思った。
昔、宿泊したプラハの「ホテル・エプロバ」は、歴史のあるものすごく重厚感のあるホテルだったのだけれど、いかんせん設備が古く、エレベーターは途中で止まったり、そのまま落下してしまうのではないか?と恐れたくらいだった。
そんなわけで、僕は部屋に入り、すこしばかりくつろぐことにした。
部屋から外の眺めが美しい。橙色の屋根が、プラハの屋根が一望できる。
このプラハの屋根をみると、プラハに帰ってきたという思いをあらためて感じる。窓を開けると冷たく乾いた空気を頬に感じた。
僕はこの旅で、いわゆる「失業者」になって来たのだけれど、旅というものはそうした失業であるとか、人生のあらゆる悲劇を癒してくれる効果があると思う。
部屋のテレビの下に、その大型のテレビの下に、冷蔵庫があったので扉を開けてみた。
飲料やらスナックやらがいっぱい入っている。
「これはタダで飲めるに違いない、さすが高いホテルだけのことはあるな!」と勝手に判断し、コカ・コーラを一本飲むことにした。
昔あった女性の体の形をかたどった、妙に肉感的なデザインのあのガラスボトルのコーラである。
椅子に座りながら、ふと考える。さて、これからどうするかなあと。
とりあえず、ホテルを出て中心街に向かって散歩することにした。
余談だが、部屋の冷蔵庫の飲料類は有料であった。
日本のホテルのように、飲み物を抜き取ると、「ガチャン!」という音とともに課金されるというシステムではなかったので、勝手に僕が無料であると勘違いしただけあった。
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